あまり大きな声では言いづらいことですが、結婚生活は17年で上手くいかなくなってしまいました。夫の事業がうまくいかなくなり、負債も抱えてしまい、そこからは自分の手で稼がなくてはならなくなりました。それが40歳のこと。わたしは40歳から本当の意味で社会に出たと言えます。結局結婚生活が破綻してから離婚までは、いろいろあり5年がかかりました。40歳から45歳まではひたすらにストレスがかかった生活でした。子供たちにはなるべく平静を装い、ごたごたに巻き込まないように配慮はしていましたが、自分の子供たちが一番多感な時期に辛い経験をさせてしまったこと、そこだけは今でも後悔しています。そんなストレスを仕事の奮起につなげるために、必死であがこうと思っていました。どうせやるならと、一念発起し、いろんな資格をとって公共事業などの入札業を生業として起業しました。今思えば起業して仕事をするようになってから「自分」というものがはじめて芽生えてきた気がします。

今の主流はパソコンですが、当時はワープロでの書類作成がメインで、当然始めたての頃はわからないことも多く、市や県の職員の方、取引企業の方にはお世話になりっぱなしでした。ただこの頃の経験から「ねえねえ、教えて？」がうまくなり、いい意味で図々しくなれました。笑　女性が活躍する今とは違い、その当時は同業の女性もほとんどいず、風当たりもやっぱりそれなりに強かったです。それでも「やろうと思ったら、人間はどんなこともできる」そう思いながら続けて行った結果、時代の流れもあり、事業が軌道に乗り、負債も全て完済。かなりの利益もでるようになって、上場一部の企業ともやりとりするようになり、この時期には俗にいう“成功者“になっていました。外国へもよく飛び回り、好きな車も乗り回し、その当時はやろうとしたことは全部できました。本当にわたしは運がよかったと思います。他の取り柄は見当たりませんが、運の良さだけは今でも自信を持っています。起業してビジネスを通して学んだ一番のことは、困っている時に必死に生きていれば助けてくれる人が現れ、真剣に取り組めば真剣に聞いてくれる人が現れるということ。自分の行い次第で運も人も寄ってきてくれる。それがわかりました。つまり、弱い自分を認めて、さらけ出して、それでも一生懸命に取り組むことだけはやめない。そうすることで運がむいてくるということです。

何かに導かれるように、ふとオーロラをカナダに見に行ったことがありました。太陽風が62度の磁場にぶつかりそれはもう圧巻の光景でした。ただただ美しく、自然のエネルギーの強さを実感すると同時に、「このエネルギーを感じて、取り込みたい。そうすれば人はなんでもできる。人間もエネルギーが大事なんだ」と直感で感じました。それがあってか、56歳の時に蒲郡にある今のオフィスを購入しました。太陽と空、宇宙の力を鷲掴みできるような場所に住みたいと娘に伝えた時に、持ってきてくれたカタログにたまたま蒲郡にある今のオフィスが載っていました。販売が終了しかけていて、たった一部屋だけ残っていたのが今のオフィスです。日が昇り、日が沈むまでを体感できる場所。空と海が見え、太陽の光が降り注ぐ場所。ここだと思いすぐに購入しました。

40歳から走り続け、会社もふたつ経営し、側から見れば順風満帆に映っていたかもしれませんが、50半ばに差し掛かり、ふと振り返った時にどうしても拭いきれない違和感がありました。“上手くいくことも、上手くいかないことも両方味わったけれど、この仕事は私の仕事じゃないかもしれない”明確に想っていたわけではなく、違和感として自分の中にずっとあったものを言葉にすると、こんな感じだったと覚えています。仕事の向き、不向きとかそういうことではなく、自分が生まれ、歩んできた人生への漠然とした不安。それがしこりとなって妙に心につっかかっていました。そんな最中、一生懸命に走り続けていた所為で、身体が悲鳴をあげていることに気づけてあげられませんでした。

58歳　軽度の脳梗塞を患う

今までで１番の大病。そしてそれを機に会社をたたむことを決めました。「本物の自分を知りたい」そこから私の第二の模索が始まりました。

今まで必死に走ってきたけれどわたしは本当の自分を知らないままでした。ずっと抱えていた違和感もより顕著になり、自分を変えたかったんだと思います。そんな時ガンジーのDVDと出会いました。なんとなしにレンタルDVD屋さんで手に取ったそのDVDに惹かれ購入し、自宅で見返すように。ガンジーの場合は差別されたことに起因していますが、ガンジーの思想に触れ、自分の置かれた状況を嘆くのではなく行動に移さなければ、何も変えられないということを、深く教えられた気がしました。ガンジーは弁護士だったけれど、まわりのひどい環境から、自分を変えると同時に自分に与えられた役割に気づいたんだと思います。最後は非暴力・不服従の運動にまで至り、この世界に対して大きな役割を果たしました。自分の役割…それが存在する。ガンジーとまで言わずとも、わたしにはわたしに与えられた役割がきっとあるはず。違和感を解消するには、この世界に生まれた意味を見つけよう。そう思い立ちました。60歳になった転機に、国宝久能山東照宮にてご祈祷いただき、榎本兆華という名前に改名。新しい自分として心機一転再スタートすることを決意しました。ビジネスではいろいろと学ぶこともありましたが、依然として私は幼い頃と変わらず、無知であり、知らないことばかり。だからこそ、いろいろ多くのジャンルで勉強をして「本物を知りたい」とその時強く思いました。それが廷いては「本物の自分」を知ることに繋がる。そんな確信もありました。

家族、取引先、友人。それまで誰かに支えられる人生だったわたしは、今度は誰かを支えられる存在になりたいと思い、東京へ行き、「生き方健康学」「抗老化医学」のドクター佐藤（佐藤富雄）氏に師事し、その道をイチから学ぶことに。3年間でカウンセラーとしてのイロハを修めることができました。その後、修めた口癖理論と抗老化医学にわたしの人生で学んだ教訓を足すことで、対面式カウンセリングの技法を確立でき、心理カウンセラーとして独立しました。また、女性起業家として成功した経験を活かし、起業を目指す方、好きなことを仕事にしたい方へのマインドセットを中心としたコーチングセッションも行うようになりました。

カウンセラーとして活動する傍らで、新しくなった自分で何かをつくりたい。そう思いはじめていた時に家のチャイムがなりました。届いたのは久能山東照宮から奉納に対するお礼の品として緑茶でした。この時も何かに惹かれるように、ふらふらとパッケージに記載された住所（お茶の製作所）を訪れることに。けれど、たまたまそこには誰もおらず、久能山東照宮に連絡を取ることになり、そこで今の宮司である姫岡様と奇跡的に出会うことになりました。運命的な出会いから私のインスピレーションも湯水のごとくわき、そこからはとんとん拍子で「らっ茶」の開発に至ります。家康公の長寿の秘訣と言われる駿府で育った緑茶の茶葉をそのまま摂取するらっ茶は、茶葉に含まれる栄養素をそのまま体内に摂取することができるので、煎茶よりもさらに身体に良く、スローエイジングに貢献します。らっ茶を開発できたことは、私と久能山東照宮の数奇なご縁から生み出された偶然の産物であるとともに、抗老化医学を学んでいた私に訪れた、運命的な巡り合わせとも感じます。久能山東照宮にて「徳川家康公顕彰四百年記念茶」として正式に命名されたらっ茶はファンも多く、身体の不調が良くなったというお客様もおられ、今なお皆さんの健康に一役買っていることが、何よりもうれしく感じています。「本物を知る・真髄の探究」わたしの求めていたものがらっ茶という形で一つ完成しました。

これは最近になって判明したことですが、カテキン、テアニン、ビタミンC、ビタミンEは当然のことながら、らっ茶にはケイ素が多く含まれます。シリカといい方を変えれば最近よく耳にしているかもしれません。ケイ素はもともと人間の体（骨、皮膚、毛髪、爪など）に含まれ、体にうるおいを与えているミネラルです。ヒトの脳には松果体という部位があり、脳の真ん中あたりにあります。松果体の構成成分はケイ素であり、その役割は、いわゆる「第三の眼」として機能します。 脳に存在し約24時間周期でいわゆる“体内時計“である、概日リズムを調節するホルモン、メラトニンを分泌し、身体の問題を察知していち早く修正へ向かわせる能力を備えています。松果体に必要不可欠なケイ素は、自然界に広く存在する成分なのですが、食事から充分な量を摂取することが難しい事でも知られています。不足しがちなケイ素ですが、らっ茶を摂取することでケイ素不足を解消できます。ケイ素は身体の乱れを整え、体内の澱みをなくします。また、強い抗酸化パワー、腸内環境改善、骨・血管を丈夫にする、睡眠を改善する、有害重金属の排出などの効果もあり、さらには、ケイ素は体内で神経細胞に取り込まれると微振動で遺伝子刺激し幹細胞活性の可能性があるとも言われ、これにより脳神経細胞再生の可能性が示唆されています。まさに健康+スローエイジングの要、それがケイ素です。

抗老化医学を学んだ、心理カウンセラーとして心身ともに皆さんを健やかにすることが“榎本兆華の使命、役目“だとすれば、開発当初は想像もしていなかった、らっ茶でケイ素が摂取できるという事実は、たまたまの偶然ではなく必然だと考えるようになりました。心は身体に影響され、また身体も心に影響されます。自分らしい人生とは心身が健やかであることからはじまります。縁は結ばれ、巡るように、らっ茶の生活習慣化と皆さんの心のケアをすることで、一人でも多くの人生を支えられることが「本物の自分の役割」なんだと気づきを得ました。

60歳からさまざまなことを知り、学ぶために、勉強、勉強の日々を過ごしてきました。人生の中では金銭的に飢餓を味わっていた時期もあり、子供たちに負い目を感じて悩んでいた時期もあります。トイレットペーパーを買うのを悩むくらいの貧困だった頃、早朝に目が覚めた時、コーヒーメーカーが壊れてしまったことがありました。寒い朝でした。コンビニまでわずか100円のホットコーヒーをひとり買いに行き、家に帰る途中、真っ赤な光がわたしの頬を照らしました。朝日でした。それは大きな大きな太陽、真っ赤な真っ赤な太陽が登ってきたのです。「ああ、幸せだなあ…」無意識にポツリと私の口からそんな言葉がこぼれでていました。自分の口からこぼれた言葉に少しとまどいました。その頃はとても幸せだと言える状況ではなかったからです。わたしは今でもなぜそんな言葉を口にしたのかわかりません。ですが、それがわたしの、ヒトの本質なんだと感じています。決して懐が豊かとはいえない時も、心が蝕まれて辛い時も、大きく綺麗な朝日を、こんなにも美しいものを見られただけでヒトは幸せなんだ。主婦としても、女性起業家としても、ずっと必死だったわたしですが、本物を楽しむ余裕すらなかったのです。この美しく、荘厳な朝日を見て、まるで天から「本物を楽しめ」と言われているようでした。それがヒトの真髄。有限な人生を楽しむのなら、常識ではなく本物を知ること、自分を知ること、楽しむことが一番だ。そう誰かに指摘された。今ではそう思っています。